クビか移籍か。契約から見る鹿島が「ファミリー」たるゆえん【岩政大樹の現役目線】
鹿島アントラーズはなぜ巨大戦力ではないのか
■30歳を超えてゴールデンエイジと「勝負」をした
僕は2年目の23歳のときに1年間試合に出続けることができ、その頃から2つ上のゴールデンエイジと下の若手をつなぐ役割を期待され、僕なりにその仕事を全うしていました。しかし、ゴールデンエイジに加え、僕まで30歳を超えてくると、僕より下の中堅たちはいつまでも役割が大きくなっていきません。若手は若手で、プロに年齢は関係ないとは言うものの、年がひとまわり離れた人たちがあまりに多くなると、どうしても中心になっていく絵が描きづらいのではないかと思いました。
そこで僕は、これをゴールデンエイジとの勝負だと位置付けました。つまり、若い選手たちが伸びてきている中で僕が生き残れれば鹿島でキャリアを全うしよう。逆に僕ではなく、ゴールデンエイジが勝ち残っていくようなら僕が鹿島を去ろう、と。
だから、鹿島退団時、山村選手、昌子選手、植田選手という若手センターバックたちに「ポジションを奪われた」とか「道を譲った」みたいな見方をされましたが、僕の中では「ゴールデンエイジに勝てなかった」という気持ちでした。
小笠原選手や中田浩二選手は30歳を過ぎたあたりでポジションを明け渡すことがあったにも関わらず、自力で取り返しました。本山選手や曽ヶ端選手も健在でした。僕は彼らを見て、彼らとは違う道の歩き方をしようと決めたのです。
移籍には大きな決断があり、そこに挑戦が生まれます。しかし、残留にも同じように決断があり、挑戦があります。僕は、移籍=挑戦とか海外=挑戦だとは思っていません。
鹿島を出ようと決めてからは、決断に悩んだら考えるのは「どちらがより難しい挑戦か」。僕はそれを自分の心が「めんどくさい」と思ってしまう方で測るようにしています。